平屋住宅と価格

平屋住宅は段差がなく暮らしやすい、地震などの自然災害に強いといった理由から、注文住宅の中でも人気が上昇しています。生活空間がフラットだから、いつでも家族の気配が感じられ、掃除や洗濯などの家事もしやすい。平屋住宅には魅力がたくさんありますが、気になるのは価格です。新築で家を建てるとき、平屋と2階建てではどれくらい価格に差が出るのでしょうか。
家を建てるときの1坪当たりの建築費を坪単価といいます。これは建物の金額を延べ床面積(坪)でわったものです。延べ床面積が等しい平屋住宅と2階建て住宅を建てるとすると、一般的に平屋住宅の方が坪単価が高くなると言われています。たとえば、30坪の家を建てるとします。1階と2階が同じ広さだった場合、2階建て住宅は基礎工事の面積が半分の15坪ですみます。つまり、基礎工事の面積が平屋住宅は2階建て住宅の2倍です。同様に考えると、屋根の面積も平屋住宅が2階建て住宅の2倍です。実際はここまで単純ではありませんが、基礎や屋根の工事面積が広い平屋住宅の方がそれだけコストがかかるので、坪単価が高いと言われるのです。
しかし、基礎工事や屋根の工事費用は確かに平屋住宅の方が高くなりますが、2階を支えるための構造上の柱や壁の数は減らせる分コストダウンになるので、どれくらい差があるかは明確ではありません。
また、家の建築費が高くなるかどうかは坪単価だけで決まるわけではありません。というのは、部屋の広さや部屋数が同じ平屋住宅と2階建て住宅では必要な坪数が違ってくるからです。2階建て住宅の場合、階段や2階のホールが必要ですが、平屋住宅ではその部分は必要ありません。2階建てでは1階と2階にトイレがある住宅も多いですが、それも1つで十分です。よって、30坪の2階建て住宅はだいたい27坪の平屋住宅と同じくらいということになります。坪数が少なくてすむ分、平屋住宅の建築コストは安くなります。
平屋住宅の人気が高まったといっても、注文住宅では依然として平屋住宅よりも2階建てや3階建て住宅の方が多いので、大量生産・発注ができない点で平屋住宅の方が価格的に不利にはなります。
それでも老後にバリアフリー化するためにリフォームするときに平屋住宅の方がコスト安になるように将来かかる費用が平屋住宅の方が安くなる場合もありますし、平屋住宅の特徴を活かしたシンプルな構造にすれば、それだけコストダウンを図ることが可能です。複雑な形、間取りにすると価格がぐんと高くなります。平屋住宅の建築費を抑えたいときはデザインをシンプルにするのがおすすめです。