平屋住宅と耐震

近年、コンパクトで生活しやすいと平屋住宅が注目されていますが、平屋住宅への関心が高まっている背景には地震も関係しているのです。平屋住宅は自然災害に強いのが特徴です。とくに地震に強いと言われています。九州は地震が少ないと言われていましたが、2016年に起きた熊本地震では大きな被害が出ました。日本は世界的に見ても地震の多い国として知られています。今後30年間に地震発生が予想されているエリアは日本の北から南まで、日本全域が地震の危険にさらされていると言ってもよいでしょう。どこに住んでいても地震への対策は万全にしておきたいものです。
平屋住宅は建物の重量が軽く、シンプルな構造ゆえに地震に強いと言います。大地震で大きな被害を受けた二階建て住宅には、二階部分の重みで一階部分が潰されるといったケースが多くみられました。平屋住宅では二階部分の負荷を受けることがありません。一階には柱や壁の数が多くなるので、自然と地震に強くなります。二階建て住宅であれば、耐震性を考えると、一階部分を頑丈にしなければいけないので、間取りに制約が出てくるのに対して、平屋住宅ではそのような制約を受けずに、自由に間取りをプランニングでき、希望通りの家を建てることができます。
国の定めた住宅性能表示制度では、耐震等級が1、2、3と分かれています。耐震等級1は新耐震設計基準(現行の建築基準法)の住宅、耐震等級2は災害時の避難所(体育館や公民館)のレベル、耐震等級3は災害時の活動拠点(消防署や病院)のレベルとなっています。
耐震等級2の平屋住宅と耐震等級3の二階建て住宅ではどちらが地震に強いのかは一概には言えません。ただ、同じ等級であれば、平屋住宅の方が被害は受けにくいと言えます。また、同じ平屋住宅でも、新築物件と新耐震設計基準導入前の中古の物件では、耐震性は新築の住宅に軍配が上がります。東日本大震災でも熊本地震でも、大きな被害が出ているのは、新耐震設計基準導入前の建物ですので、耐震性を重視するなら耐震等級のある住宅を選ぶ方が良いです。耐震性能の高い平屋住宅であれば、より安心して暮らせます。また、いくら平屋住宅が頑丈だといっても、地盤が軟弱ところでは被害が大きくなります。耐震を考えるのであれば、地盤の強さを調べることも必要です。
地に足をつけて暮らせる安心感は平屋住宅ならではのものです。平屋の注文住宅は主流ではありませんが、耐震性を考えたときに、平屋住宅の選択もありではないでしょうか。